形式称号規程
形式名は3文字のカタカナで表される。先頭1文字目は電気機関車を表す「デ」を冠する。2文字目のカタカナは動軸数を表し、3文字目は形式記号を表す。2文字目と3文字目は蒸気機関車や貨車と同様に1、2、3・・・をイ、ニ、サ・・・と表記する。この3文字のカタカナの後ろに、車両番号が記される。
例 | 意味 |
デロイ2 | 電気(デンキ)機関車で6(ロク)軸の1(イチ)番目の形式、2号機 |
似た形式称号規程をもつ南満州鉄道(満鉄)にも鮮鉄同様に電気機関車が存在したが、こちらは鮮鉄と違った称号規程を電気機関車に適用していた。満鉄では動軸数を区別せず、電気機関車には一律「デキ」という記号を用い、その後にイ、ニ・・・と順番を表す記号を付けていた。(例:満鉄デキイ形)
デロイ・デロニ形
形式 | 製造年 | 製造所 | 両数 |
デロイ | 1943~1948 | 東芝(府中)、三菱 | 12 |
デロニ | 1943~1944 | 日立 | 4 |
京元線の福渓~高山間は急勾配の難所であり、同区間は1944年に直流3000Vで電化された。これに合わせて開発・製造されたのがデロイ・デロニ形電気機関車である。本邦初の直流3000V用機関車であり、鉄道省(→日本国有鉄道)のEF12形に似た外観をもつ。
終戦時に朝鮮半島に存在していたのは、デロイ形5両とデロニ形4両の合計9両であり、残りのデロイ形7両は終戦後に南朝鮮(韓国)側に発送された。韓国では中央線(もと京慶線)の電化計画のために保管されていたが、朝鮮戦争時に1両を残して持ち去られ、残った車両は電化前の1958年に解体された。北朝鮮側では京元線(後の平羅線)のほか満浦線などの新たな電化区間にも使用され、今世紀に入っても1両が現存している。
主要諸元(鮮鉄デロイ形)
軌間 | 1435mm |
車軸配置 | 1C+C1 |
運転整備重量 | 135t |
全長(連結面間) | 19,060mm |
車体幅 | 3,100mm |
動輪直径 | 1,370mm |
走輪直径 | 860mm |
電気方式 | 直流3000V |
動力伝導方式 | 1段減速釣掛式 |
1時間定格出力 | 2,250kW |
1時間定格牽引力 | 20,000kg |
1時間定格速度 | 41km/h |
最大運転速度 | 75km/h |
制御方式 | 直並列3段組合電磁空気単位スイッチ式 |