北朝鮮の貨車は他の車種と同様、独立当初は鮮鉄や満鉄などから引き継いだ日本統治時代の車両が大半を占めていた。朝鮮戦争による混乱を経て、車両の国産化と量産化が達成されている。1980年代には100トン積み無蓋車「무(ム)12形」の量産を行っている。その一方で、隣国の中国から中古車両の輸入も行っており、1960年代から80年代にかけて登場したP61型、P62系、C61系、C62系が多く譲渡されている。輸入された車両の一部は、中朝国境の中国側の都市である丹東(たんとう)から平壌市内の西浦(ソポ)までを繋ぐ列車に充当されている。
道路交通の発達が周辺諸国に比べると進んでいない同国では、貨物輸送の大きな割合を鉄道輸送にたよっている。全国津々浦々で貨車が行き交うが、これらの貨車の姿形や種類は多様であり、いまだそのほとんどを分類することができていない。本項は、その中で分類ができたごく一部の車両について列挙しているにすぎないことをご承知のうえでご覧いただきたい。
1435mm
無蓋貨車
記号 | 型式 | 積載荷重 | 製造 | 概要 |
ㅈㅁ(ChM) | 中国C62系 中国C64系 | 60t | 中国、ソ連 | 中国国鉄C62系およびC64系の中古車両。 |
무11(Mu11) | 무11 | 60t | 北朝鮮(元山) | 北朝鮮国産無蓋車の標準型。 |
무12(Mu12) | 무12 | 100t | 北朝鮮(元山) | 国産100t積み貨車の標準型。 |
무14(Mu14) | 中国C61系 中国C61Y型 | 60t | 中国(C61)、ポーランド(C61Y) | 中国国鉄C61系およびC61Y型の中古車両。 |
不明 | 中国C50型 | 50t | 中国 | 中国C50型の中古車あるいは同形車。 |
不明 | 無蓋車 | 不明 | 北朝鮮 | 側面構造が中国C50型に似た最初期の国産鋼製無蓋車。 |
不明 | 無蓋車 | 不明 | 北朝鮮(推定) | 荷台が半円筒形の無蓋車。砂石運搬用とみられる。清津方面に存在する。 |
不明 | アスファルト用無蓋車 | 60t | 北朝鮮(推定) | ナベトロのような転倒式荷台を複数もっている特殊な無蓋貨車。 |
不明 | 無蓋車(6軸) | 不明 | 北朝鮮 | 무12に似た車体を持つ3軸ボギー車。 |
不明 | 無蓋車(6軸) | 100t | 北朝鮮 | 무12とほぼ同形の車体を持つ。2軸ボギー×3台。 |
不明 | 無蓋車 | 不明 | 韓国 | 韓国の中古鋼製無蓋車。[関連記事1],[2] |
不明 | 土運車 | 60t | 北朝鮮(推定) | 무11の荷台を低くしたような無蓋貨車。土運車として使用されている。 |
(츠) | 長物車 | 50~60t | 北朝鮮(推定) | 2軸ボギー長物車。車両や長大な貨物を輸送する。ほかの車種に比べてコロ軸受付き台車の割合が高い。 |
토7 | 長物車 | 60t | 北朝鮮(推定) | 2軸ボギー長物車。例)自走式多連装ロケット砲を積載した写真。 |
不明 | 無蓋緩急車 | 不明 | 北朝鮮(推定) | 無蓋緩急車とみられる車両。高原駅などで複数が留置されている。車掌室には、スローガンが掲げられている。 |
不明 | (無蓋緩急車?) | 不明 | 北朝鮮(推定) | ZPU-4対空機関砲を搭載した。民間防衛組織の労農赤衛軍が使用するものと考えられる。 |
有蓋貨車
記号 | 型式 | 積載荷重 | 製造 | 概要 |
(유)(Yu) | 満鉄ヤイ形・中国P1型および同型車 | 30t | 日本、中国? | 満鉄由来とみられる鋼製有蓋車。満鉄ヤイ形時代を再現した1両が平壌の鉄道省革命事績館に保存されている。 |
(유)(Yu) | 中国P3型および同型車 | 60t | 中国? | 木造有蓋車 |
유7(Yu7) | 무12 | 100t | 北朝鮮 | 国産60t積み貨車の標準型。1両が平壌の3大革命展示館に展示されている。 |
유11(Yu11) | 中国P61型 中国P62型 | 60t | 中国 | 中国国鉄P61型およびP62型有蓋車の中古車 |
不明 | 万能有蓋貨車551形 | 50t | 北朝鮮(元山) | 1963年5月10日に元山鉄道工場にて生産された。 |
なし | 湿ガス用タンク車 | 60t | 北朝鮮(元山) | 1両が平壌の3大革命展示館に展示されている。 |
不明 | 日車製24t積液化アンモニアタンク車 | 24t | 日本(日車) | 1974年に日本車輌が3両を製造。日立造船を経由して北朝鮮に輸出された。図面番号:8C-6685A。『日車の車輌史 図面集-戦後産業車両/輸出車両編』より |
不明 | 日車製30t積酸化グリコールタンク車 | 30t | 日本(日車) | 1974年頃?に日本車輌が製造。日立造船を経由して北朝鮮に輸出された。『日車の車輌史 図面集-戦後産業車両/輸出車両編』より |
不明 | 日車製24t積エチレングリコールタンク車 | 30t | 日本(日車) | 1974年頃?に日本車輌が製造。日立造船を経由して北朝鮮に輸出された。『日車の車輌史 図面集-戦後産業車両/輸出車両編』より |
(유)(Yu) | 有蓋ホッパ車 | 60t | 北朝鮮 | セメント用とみられる有蓋ホッパ車。北朝鮮ではよくみられるタイプ。 |
세3(Se3) | セメント用有蓋ホッパ車 | 60t | 北朝鮮(元山) | 1両が平壌の3大革命展示館に展示されている。 |
不明 | 満鉄カイ形・中国S1型および同型車 | – | 日本、中国? | 満鉄由来とみられる鋼製車掌車 |
(차)(Cha) | (トランスファー・カブース) | – | 北朝鮮 | 車掌車のうち、トランスファー・カブース型のもの。 |
762mm
無蓋貨車
- ナベトロ
- 無蓋車
- 有蓋車
- 長物車